インターネットの可能性

インターネットの可能性

インターネット選挙運動において、政治家が自身のWEBサイト(ホームページ)やブログを開設したり、SNS(フェイスブックやツイッター、LINEやGoogle+)アカウントを取得して有権者に働きかける原点には、有権者に対する政治家自身の「認知を獲得する」ことや「信用を獲得する」ことをはじめ、「有権者と直接、接点を持ち、政策や自分の人柄を訴求する」ことにあると思われます。

特にSNSに関しては、SNSごとに利用する年齢層が異なるため、幅広い年齢層に対しての訴求やプロモーションが可能になります。
特に若年層に対して「政治や選挙に関する意識や興味」を持たせることが可能になるのではないかと思われます。
現状では有権者に占める高年齢層の比率が高く、かつ投票率も高いため、選挙結果が高年齢層の意向に強く左右される傾向にあると言われています。
インターネット選挙運動の解禁によって若い世代の投票率を高め、世代間の不均衡を緩和する効果が期待できる可能性が高いと思われます。

また、インターネット上で個人情報を収集し、そのデータを選挙運動に生かすことも可能なため、政治家や政党が個々の有権者とインターネット上でつながれば、政治家の政策や発言が有権者にどの程度、支持されたかなどをデータ化・数値化することが可能になります。
つまり、蓄積したデータを分析することによって「選挙時にどのような政策を打ち出し、どんなイベントを企画すれば有権者から支持が得られるか」等の予測が可能になってくるのではないでしょうか。

また候補者が、自身の選挙区(地域・エリア)に絞り込んでプロモーション戦略を行うことも可能になります。

アメリカのインターネット選挙運動の事例

1992年~

1992年の民主党大統領候補予備選挙において、ブラウン候補が初めて電子メールによる選挙運動を行いました。

1996年~

1996年の大統領選挙において、候補者は主にホームページを開設して選挙を戦いました。
この時点でのホームページ内容は経歴や政策の記載が中心であり、ホームページ上での活動内容としてはボランティアの募集くらいのもので、従来の紙媒体を電子データに置き換えただけのものでした。

2000年~

2000年になると、政治献金にクレジットカード使用が認められました。

2004年~

2004年は、民主党大統領候補予備選挙においてディーン候補が初めて「ブログ運用」及び「SNSの活用」「電子メール」の活用」を選挙に導入しました。
また、同年、クレジットカードを使用したインターネット献金が行われるようになり、個人献金額が急増するようになっています。
これまで選挙に関心があまりなかった若者層や女性層の多くを取り込み、大半の献金が一口200ドル以下の小口献金にも関わらず、総額5100万ドル以上を集めるに至っています。
この頃、「ブログ」という双方向でコミュニケーションが可能なインターネットメディアの出現や、初期のSNSである「Meetup.com」等を用いた画期的なインターネット選挙運動が行われるようになりました。
また、2004年の大統領選挙において、一般市民がブログを用いて、インターネット上で政治的な呼びかけを行うようになっています。
2004年7月に行われた民主党全国大会では、ブロガー(ブログ運営者)のための記者席が設けられ、その場所からの情報発信も行われています。

2005年~

フェイスブック・ツイッター、YouTube等のSNSが急激に普及し始めました。

2008年~

2008年は、ソーシャル選挙運動の時代と言っても過言ではなく、2008年の大統領選挙においてオバマは、独自のSNS(my.barackobama.com)を立ち上げ、フェイスブック等と併用し、「サポーター」と称する自発的に活動する支援者を多く獲得しています。
その支援者たちを組織化してボランティア選挙運動を行ってくれる人員や、小口の個人献金を行ってくれる人員を多く集めています。
インターネット上で繰り広げられる「ネガティブキャンペーン」等の対策も万全で、インターネット上で集金した献金による資金力を背景に大統領選挙を勝ち抜いています。

2012年~

2012年の大統領選になると、2008年度とは比較にならないほどインターネットが最大限に活用されていることがわかります。

※2012年の大統領選挙に用いられたSNSや動画配信サービスは以下のとおりです。

①フェイスブック

②ツイッター

③YouTube
2012年の大統領選挙では、YouTubeにオバマチャンネル・ロムニーチャンネルが存在し、アメリカ中のキャンペーンの様子を動画により配信しています。

④Tumblr(タンブラー)
タンブラーとは、ブログサービスの一種です。

⑤Foursquare(フォースクエア)
GPS機能を利用したチェックイン機能があるSNSです。

⑥pinterest(ピンタレスト)
画像や動画がメインのSNSです。
アメリカでは女性の間で大流行しており、日本でも徐々に利用者が拡大しつつあります。

また、2012年の大統領選挙は、「ビッグデータ選挙」と称され、潜在的な有権者に対する莫大なデーターベースを統合・分析し、年齢性別、過去の投票行動、フェイスブックの連絡先情報等の個人情報に応じて異なるメッセージを配信するなどターゲット別のアピール戦略に成功しています。
また、オバマ陣営のIT選挙チームは少数精鋭の内部の雇用とボランティアで形成され、無料で使用できるソフトウェアや低コストで済むアマゾンのクラウド・サービス等を活用して出資を節約したと言われています。

アメリカのインターネット選挙運動の歴史

韓国のインターネット選挙運動の事例

韓国のインターネット選挙は、2012年1月に全面解禁になったばかりですが、大統領選挙では投票率が13%向上、また20代の若年層では投票率が20%も向上しています。
但し、インターネット上での誹謗中傷などの問題点も多く発生しており、不正な書き込みを防止するため、「インターネット選挙報道審議委員会」が設置され、その下で一般人約230人によって構成された「サイバー選挙不正監視団」が監視にあたったとされています。

韓国のインターネット選挙運動の歴史